DELTARUNEのサンズについて
『DELTARUNE』(デモ版)のサンズと『UNDERTALE』のサンズを比較し、印象の違いを箇条書きでまとめました。後半は筆者の感想です。
サンズというキャラクターの一ファンとして、個人的に整理したくて書きました。筆者は様々な方の考察を拾い読みしています。下記の内容が決して筆者一人で気づいたものだけではないことをご承知おきください。
以下、
UTサンズ→UNDERTALEに登場するサンズ
DRサンズ→DELTARUNE Chapter 1(2018/10/31発表のデモ版)に登場するサンズ
という意味で使っています。
1.初出の表情
UTでは会話中、視線を横上にそらすことはなかった。目元のニヤけも相まって軽薄な印象。
2.あんぽんたんガキンチョでキャラがかぶる
ということは、サンズは自分のことを、おじさんというよりガキンチョ寄りだと思っているんだろうか?
3.笑い声「ヒヒヒ…」
UTサンズがヒヒヒと笑うのは、たった一度だけ。
…そんな こわい かお して…
ヒヒヒヒ…
ひょっとして オレに まんまと してやられたか?
Gルート最終戦。戦いに戻ってきた主人公への失望と、ハグする振りして殺すという強硬手段への自嘲が感じられる。
UTサンズは余裕のない状況にしかこういう笑い方を見せなかったが、DRサンズはごく日常的にこういう笑い方をするらしい。
4.一方的な約束をする
この約束は、サンズに一度でも話しかければ勝手にとりつけられてしまう。UTサンズが重要イベントに関しては主人公の選択を尊重していた(グリルビーズもMTTホテル併設レストランも、断ればあっさり引き下がる)のとは対照的。
(原語版だと「やくそくしてくれてうれしいぜ」が「thanks for agreeing to~」となっていてpromiseという語は使われていない。「あの『やくそく』嫌いのサンズが『やくそく』って言ってる!」という強調はやや的外れ?)
こちらの選択を尊重しない、未来の約束をごく普通にする。
気になるのは、これが彼自身の守る約束ではなくて、弟の約束であること。
5.約束にサンズはいない
(「いいよ」選択時)
いや オイラは いないから。
いたら おかしいだろ。
(「やだよ」選択時)
きてくれたら… オイラは とくべつに…
…うちに いない。
選択関係なく言われるということは、会話上の軽いジョークではないのだろう。でも、よくわからない。UTではいつもパピルスを見守っていたサンズが「いたらおかしい」とは?
6.弟の説明が少ない
DRサンズは弟のことがそんなに好きじゃないのかもしれない。
というのも、サンズの口からは弟の名前すら出てこない。
UTでは会ってすぐパピルスの名前が出るし、「最近落ち込んでる」「あいつの夢は人間に会うこと」「会ってやってくれ」と説明がある。友達になるのか捕まえるのか、家に呼ぶか、決めるのはパピルスだった。
DRでは弟の状態について一切伏せたままだから、弟の判断をすっとばして「友達になってやってくれ」と言っている可能性もある。原語版では「my little brother」と呼んで年下の兄弟だと明言しているけど、まだ判断のつかない年齢なのかもしれない。
(DRサンズの弟はパピルスなんだろうか?器の名づけ時「パピルス」と入力すると反応があるので、DR世界にパピルスという名前のキャラクターがいることはわかる。また、家のドアをノックしたとき「the distant trousle of bones」というのがめちゃくちゃパピルスっぽい。個人的には、今作でもパピルスが弟なんじゃないかと思う。)
7.友達になるハードルが高い
サンズ含めホームタウンに住むモンスターたちは、現実的な警戒心をもって他人と接している印象がある。
あったばかりで いきなり ともだちには なれないぜ。
UTにおいて、サンズとは会った時から友達だ。弟を殺しさえしなければ…というゆるすぎる条件で友達扱い。弾幕戦闘もなく、食事デートも強制ではない。というのも、UTサンズには主人公の友達になるべき動機があった。トリエルとの約束、そして主人公が満足したら時空の歪みが解決するんじゃないかという希望。
DRサンズは時空の歪みを感知していないように見える。
(そもそもDRに時空の歪みという概念があるか不明。サンズに会った後、キング戦直前からやり直して再び会ってみても、反応が変わらない。UTなら「本当のリセット」じゃない限りなにかしら覚えられていて、初対面じゃないよなってリアクションがありそうなのに。)
いまのところ、弟の友達候補という以外に、DRサンズが主人公と友達になる動機は見当たらない。
(「紹介しない」選択時)
キツイな。 でも ごもっともだぜ。
「あったばかりでいきなりともだちには~」という台詞は、UTプレイヤーがサンズに飛びつくであろうと予測した作者仕込みのユーモアともとれる。でも、紹介を断るのが「ごもっともだぜ」というのは意味が違う。友達を紹介しないという選択を、ただ受け入れるだけではなく、肯定している。 こちらの現実的でまっとうな警戒心に共感し、サンズもその警戒心を持ち合わせていることを暗に示している。
8.変な奴は切り捨てる
アルフィーを紹介すると、彼女が店に来た時の様子を教えてくれるが…
ここの話、ただのお客の話にしては、詳しくしゃべりすぎではないか?彼女についての話は、弟の話やトリエルの話よりずっと長い。
服装、持ち物、挙動、何を・どのくらい・どのように購入したか……やたら詳しい描写の後、出た結論がなにかというと、「そういう奴と自分とは友達にならない」ということ。
誰かにこういう話を好んで聞かせること自体、UTサンズからは考えられない。
遠まわしながら、確実に、アルフィーへの軽蔑がある。
特にこの部分、
んで コソコソ
かくれるみたいに
かえってったぜ。
パジャマの すそを
ひきずりながらな。
ま あいつとは
ビジネスオンリーの
つきあいだ。
まるで悪党が退散していったかのような言い方。
「コソコソ隠れるみたいに」というのはサンズの感想。そこに「パジャマの裾を引きずりながらな」と丁寧にも付け加え、「ビジネスオンリー」と言い切っている。
DR世界のアルフィーは嫌われ者のようだ。でも、UTのように特別重い罪を犯した様子は見られない。それに、サンズは引っ越してきたばかり。
アルフィーなら既に知っている…と答えるだけにとどまらず、自分の所見をこうもペラペラ話すのはなぜか。特に理由が見当たらない。深い意味もなく、自然と、アルフィーを軽視しているからとしか思えない。
これは正直キツい。というのも、シュミの良くない奴とはビジネスオンリーということは、プライベートでは最低限シュミの良い奴としか仲良くなりたくないってことだから。
そう考えると…………彼の弟は?
※これより下、DRサンズの特徴というよりは個人的な感想になります。
9.DRサンズはパピルスをどう思うか
UTサンズは他者のシュールな言動(現実的な価値観では「奇行」「醜態」ともされる)について、褒めそやした話のオチにすることはあっても、笑いの対象として話の中心に据えるようなことはしない。そして、オチとして使えるということは、現実的な価値観を理解していないわけじゃない。ニンゲンから見て何が変で何が変でないかをわかっている。わかった上でしゃべっているからこそ、現実的な目線で見たときの面白さと誰も傷つけないこととを両立させた会話ができるのだ。UTサンズが好むダジャレやノックノック・ジョーク(原語版)が弄りというより音遊びの類で、誰も傷つけようのない性質であることも偶然ではないだろう。
パピルスについて「おかしい」とか「(解けないなんて)バカだ」と表現することはない。
おこさまチャレンジを難しいと思うこと、夜に寝てただけのサンズを昼寝といって怒ること、毎日服ごとシャワーを浴びること。これらを現実的な価値観(悪意や差別も含んだ価値観)から見ると、ものすごく変な奴という判定が下る。たぶん、UTサンズはそのあたりの価値観を把握している。把握しているからこそ、パピルスが去った後やグリルビーズで二人になった時、ごく自然にフォローを入れる。主人公にお礼を言ったり、パピルスのさらなるエピソードを語ったりして、プレイヤーが自分と同じ目線で(あいつ純粋だな、スゴいな、努力家だな等といった目線で)パピルスを見られるように誘導する。
つまり、UTサンズは現実的な価値観を想定して動きはするものの、彼自身はその価値観には則っていない。彼は心底パピルスを敬愛しているキャラクターなのだ。
DRのアルフィーも、UTパピルス並みに変な奴だ。ただの買い物なのに妙な変装してて(しかもパジャマの裾が出ている…)、支払いがなぜか大量の小銭で、住民なのにコソコソ隠れるみたいに帰って……。DRサンズは彼女が現実的な価値観でもって変な奴であることを把握した。把握してどうしたかというと、「ビジネスオンリーの付き合いだ(プライベートでは友達にはならない)」と判断し、そこまでの経緯は長々説明するに値するおもしろ話として記憶し、あくまで軽いノリで、主人公にも話した。
DRサンズも会話が上手い。たぶん、いい奴だろう。一緒にいて楽しいタイプだ。
でも、アルフィーへの悪意をうまく(本当にうまく)コーティングして話のネタに出来てしまう彼は、かなり怖い。それは現実的な価値観の嫌な面に則った行動だから。
DRサンズがパピルスを見たらどう思うだろう?変なパピルスを、シュミの悪いお客と同様、受け入れがたいものとして切り離してしまわないだろうか。
彼の軽蔑が弟には向けられていないことを祈るしかない。
もしくは全て、なにかの作戦であってくれればいいのだが……
10.サンズの性格をつくるもの
サンズはすごくよくできたモンスターだ。皆から慕われている。商才がある。頭も良い。地底に閉じ込めるバリア、時間が飛びまくってリセットされる不可解現象、そして弟をサポートする必要さえなければ、何にだって挑戦できるしどこへだって行ける。でもUTサンズは別にそんなこと望んでない。UTでの彼は、とっくに諦めていて、怠け者で、弟のことが大好きだからだ。
彼は、現実的な価値観(差別や悪意もたくさん含まれる価値観)でも生きていこうと思えば生きていける。それどころか、たぶんめちゃくちゃ勝ち組になれる。チャプター1の雰囲気からするとDRサンズはこちらに魅力を感じているのかも……と思ったけど、判断はできない。
サンズが他のキャラクター達と違うのは、世界の存在の仕方そのものが彼のモチベーションになったり行動パターンを変えたりし得ることだ。バリアもリセットもないとおぼしきDRで、彼が大切にしているものは何なのか。他の誰より変わってしまっていたとしても、おかしくはない。
どうせ唐突にリセットされて場所も戻され記憶も消されるんだから…というのを怠け癖の口実にしているのか、自分でもわからない、とUTサンズは言っていた。
DRはこの問いに対する答えのひとつにもなり得る。
★まとめ
・笑い声や表情が浮ついた感じ
・弟の名前も様子も伝えないまま自分不在の約束を勝手に取り付ける
・ひとの良くない話で盛り上がれるユーモアセンス
・パピルス(仮)は自宅の奥でガタガタいってる
少ない情報から判断するかぎり、ちょっとイヤな予感がしますとだけ。
※全てUTと比較した場合の感想です。UTとDRは別の世界であることが原作者から明言されています。
※UTではこうだったという記述は個人的な記憶に基づいており、間違っている可能性があります。間違いのご指摘、または感想等、お気軽にコメントしていただけると嬉しいです。
(おわり)